What is SMASSE? 2. SMASSEとは?

2-1 開始までの経緯

 ケニアでは、この国の工業化を推進するために、第8次国家開発計画他において 中等教育における理数科教育の重要性が強調されています。 また、日本は、1996年4月のUNCTAD総会で「アフリカに対する教育支援」を表明する等、 基礎教育分野での協力に取り組みつつあります。 このような状況でJICAは、1995年9月と1996年4月の2度にわたりプロジェクト形成調査を実施しました。

 その調査結果を受け、検討案件としてケニア理科教員養成大学(KSTC)他に対する無償資金協力、 理数科教員再研修等のプロジェクト方式技術協力、青年海外協力隊のグループ派遣等が提案されました。 ケニア側は、現職の理数科教員再訓練等を目的とするプロジェクト方式技術協力の実施について 日本政府への協力要請を行い、それを受けて本プロジェクトが開始されたのです。

 1998年7月から開始された本プロジェクトは、2003年6月までの5年間で、 15の対象ディストリクトで研修事業を実施することに成功し、 教員や生徒、校長、地方行政官にもその意義を認められました。 その結果として、全国中等学校校長会において「SMASSEの研修事業を全国展開すべし」 という決議を得たことはSMASSEフェーズ2の実施に向けて大きな声援となりました。

 平成14年11月に派遣された終了時評価調査団は、日本・ケニア両政府に対し、 「この研修事業は成果を挙げており、その成果は他のディストリクトにも 広げられるべきである」という提言をまとめ、両国に対して必要措置の検討を促しました。 対象地区が大幅に増加するために必要な人・モノ・金の手当について ケニア政府が積極的な措置を取ることに合意し、平成15年7月からSMASSEフェーズ2が開始されたのです。

 なお、杉山 隆彦チーフアドバイザーが執筆したレポート「アフリカに技術協力の持続的発展を求めて」が JICAフロンティア誌2002年1月号に掲載されました。 満5年を経過した当プロジェクトの準備・計画段階から一貫してこのプロジェクトを引っ張り続けている 杉山リーダーの想いと、開始当初の経緯を読み取ることが出来ます。

2-2 活動場所

このプロジェクトはケニア教育省 (略称MOEST = Ministry of Education, Science and Technology) の管轄ですが、実際の仕事は首都ナイロビの郊外(市街地から西へ車で15分)にある ケニア理科教員養成大学(略称KSTC = Kenya Science Teachers College) の敷地内にて行われています。(ただしSMASSEの現職教員研修が全国展開を遂げる際に、 SMASSE中央研修センターは独立した組織Centre for Mathematics, Science and Technology Education in Africa (略称: CEMASTEA) となったため、行政組織上、KSTCと直接の関係はありません。)

校門から正面
卒業式、家族揃って

この大学には1学年に約200人、全体(3学年)で約600人の学生が、 中等学校の理科や数学の先生を目指し、寮生活を送りながら勉学に励んでおり、 校長(Mr. Patrick Kibui)を始めとする教官約120人が彼らの指導に当たっています。

SMASSEは、彼らのようにこれから教員になろうとしている学生を対象とした教育活動 (Pre-Service)ではなく、 中等学校で既に理科や数学を教えている現職の先生を対象とした再研修 (INSET = In-Service Training)を 実施するプロジェクトなので、活動場所はKSTCなのですが、 学生との直接の関わりはありません。

また、SMASSEのケニア人スタッフ(いわゆるカウンターパート:C/P)も、 プロジェクト開始当初はKSTCの教官から選ばれましたが、 現在は現職の理数科の教員からリクルートされており、しかも、KSTCの学生を教育する仕事 とは一切関わりがなく、SMASSEの仕事にのみ専念しています。

2-3 目的と活動内容

JICAプロジェクトの活動内容は、日本(JICA)側での協議だけで決まるのではなく、 相手国の政府やカウンターパート、プロジェクト対象となる民衆といった 様々な立場の関係者をも含めた実行計画協議の場(PCMワークショップ)を持ち、 それをPDM(プロジェクトデザインマトリクス)という形式にまとめています。

そうした協議を持ち、プロジェクト関係者全員がその意志決定に携わることにより、 各種活動内容の相互間連やその意味付けがより良くプロジェクト全体に浸透し、 円滑かつ効果的なプロジェクト運営が可能になるのです。

本プロジェクトでは、活動開始前に最初のPDMを作成しましたが、 3年目の2000年12月に行われたJICA中間評価調査団が派遣された際に ケニア教育省、SMASSEカウンターパートらとともに再度PCMワークショップが開催され、 プロジェクトの進捗状況を踏まえて修正を加えた第2版が作成され、それ以降利用されていました。 その後、終了時評価での全国展開の提言を受け、2002年11月のSMASSE内ワークショップの場において、 研修事業を全国展開するための具体的計画が議論され、その詳細がSMASSEフェーズ2プロジェクトドキュメント にまとめられ、そのプロセスの中で新たなPDMが誕生しました。

SMASSEフェーズ2では、

  1. ASEI&PDSIアプローチに基づく研修事業のケニア全国での実施
  2. ASEI&PDSIアプローチに基づく理数科授業改造運動のアフリカ周辺諸国への波及
という二本柱を掲げることとし、PDMも2つ作製しました。 その一つ目のPDMでは、「ケニアの青少年の理数科能力を向上させる」という目標を掲げ、 それを実現させるために以下のような活動を実行しています。

  1. ディストリクトにおける理数科教育ベースラインスタディ及び再研修ニーズアセスメント
  2. 上記調査に基づく再研修プログラム・教材等開発指導 
  3. 中央(ナイロビ)における理数4教科C/Pを研修指導員(ナショナルトレーナー)として養成 
  4. 中央及び地方におけるINSETの実施及び指導 
  5. 研修成果のフォローアップ及びモニタリング 
  6. 校長、教育省視学官等、関係者全体に対するINSET持続性に対する啓蒙・啓発 
  7. 理数科教育向上のための情報発信 
  8. JOCV理数科教師との連携活動
なお、本プロジェクトのPDMについては、以下をクリックすることにより Wordファイルでダウンロードすることが出来ます。 英語版がオリジナルで、日本語版は参考和訳という位置づけになります。
  1. SMASSE PDM ver 2.0 (英語・オリジナル, 2003年7月1日より)
  2. SMASSE PDM ver 2.0 (参考和訳: 準備中 , 2003年7月1日より)

2-4 カスケードシステム

当プロジェクトの現職教員研修(INSET = In Service Training)の実施形態は、 以下のような2段階方式を採用することによって、 中央で実施する研修内容を、すなわちSMASSEで提唱するASEI授業とPDSIアプローチを、 対象地域の教員に広く頒布することを目指しています。 当プロジェクトではこの方式をカスケード(cascade=滝)方式と呼んでいます。 なお、当初はディストリクト研修の下に3段階目としてクラスター研修を設置していましたが、 経済的に非効率なことが判明し、現在、クラスター研修は中止してディストリクト研修へ統合しました。

  1. 中央研修:
    ナイロビのKSTCにて、SMASSEのナショナルトレーナーが講師となって実施する研修。 研修を受けるのは、各ディストリクトから4教科(数,物,化,生)×4人ずつ選ばれた現職教員である。
  2. 地方(ディストリクト)研修:
    上の中央研修で研修を受けたメンバーが、中央研修終了後地元に帰って、次の休み時期(4月か8月)に実施する研修。
最初の5年間、INSETの実施時期は、中等学校もKSTCも長期の休みになる 4月と8月に限られており、中央研修で200人近い参加者を受け入れるKSTCでは、 留守になっている学生寮を研修員の宿舎として活用していましたが、 SMASSEフェーズ2では新たな研修施設CEMASTEA(現在、改修工事中)をフルに活用し、 一年中研修を実施することが出来るようになりました。

2-5 ケニアの教育事情

1969年に青年海外協力隊員としてタンザニアへ派遣されて以来、様々な形でアフリカへの国際協力に 携わってきた、我がプロジェクトのチーフアドバイザー杉山隆彦JICA専門員が、 アフリカとケニアの教育事情(歴史的経緯、現状、課題)をご紹介します。

以下にさわりだけご紹介します。続けて読みたい方は ここをクリックして下さい。

 

アフリカの教育は、歴史的にみれば、植民地時代前の教育、植民地時代の教育、 独立以後の教育という三つに区分することができます。 植民地時代前の教育は伝統的教育と言い替えることもできます。 植民地時代の教育は、 植民地の人々を植民地経済の仕組の中に組み入れていく手段 として使われたと言ってよいかと思います。 独立後の教育は、教育を全国隅々まで普及させ、個人の意識を改革して、 国民国家への統合を目的としたものといえるでしょう・・・  


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